GT-720FとArduinoでGPSを使ってみる(その2)
・GT-720Fからのデータについて
ここに公開されている技術資料の後ろの方に説明があるので参考にしてください。
主に使っていたのはGGAというフォーマットです。
GPSロボットカーでは方位も知りたかったのでRMCというのを使いました。
ここではGGAをつかって説明をしていきます。
例えばこれが資料の一部です。
表にあるようなデータを得られることがわかります。
分かりやすいのを上げると
1:協定世界時(UTC)(日本標準時はUTC+9なので9時間足した時間)
2:緯度(日本は35度くらい)
3:北緯か南緯か(日本は北緯)
4:経度(日本は135度くらい)
5:東経か西経か(日本は東経)
他にも
7:捕捉衛星数(観測につかっている衛星の数)
9:海抜高
などが含まれています。
表の上に書いてある例のように受信されているはずです。
$GPGGA,104549.04,2447.2038,N,12100.4990,E,1,06,01.7,00078.8,M,0016.3,M,,*5C<CR><LF>
末尾の<CR><LF>は改行コードなのでArduinoのシリアルモニタでは改行されて表示されるはずです。
実際は他のフォーマットも同時に送信されてきます。
[実際にシリアルモニタに表示されるデータ例(一部)]
・Arduinoでの処理の概要
受信ができてもセンサのように数値になるわけではありません。
ここまで受信しているのはただの文字列です。
そして複数の情報が混ざっているので切り離してから、数値にする必要があります。
[処理の概要]
・Arduino GPSロガー
まずはGPSロガー用につくったスケッチの一部を載せて説明します。
[Arduino GPSロガースケッチ(一部)]
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 | #include <SoftwareSerial.h> SoftwareSerial mySerial(5, 4); char moji; // 文字列を宣言 String str,type,time,ido,keido,Number; int i; void setup () { Serial.begin(9600); mySerial.begin(9600); Serial.println("Start"); } void loop () { str = ""; //strには1行の文字列を入れる //信号がきてない間は飛ばして、改行(\r)が来たら中断する。 //その間受信した文字をstrに足し続けている。 while(1){ moji = mySerial.read(); if(moji == -1) continue; str = (str + moji); if(moji == '\r') break; } //typeにはstrの$GPGGAにあたる部分を入れる type = str.substring(1,7); //typeが$GPGGAのときはその行を分割する if(type.equals("$GPGGA")){ Serial.print(type); time = str.substring(8,18); Serial.print("\t"+time); ido = str.substring(19,28); Serial.print("\t"+ido); keido = str.substring(31,41); Serial.print("\t"+keido); Number = str.substring(46,48); Serial.print("\t"+Number+"\n"); } } |
syntax2html |
・Arduinoでの文字処理
通常のArduinoの使い方では文字列を扱うことが少ないと思うのでこまかめに書きたいです。
28 | type = str.substring(1,7); |
syntax2html |
typeというString型の変数に、strという変数の1番目から6番目までの範囲をいれています。
こうすることによって各数値を必要な部分に分割することができるので、
それぞれ個別に処理することができるようになります。
それぞれ個別に処理することができるようになります。
31 | type.equals("$GPGGA") |
syntax2html |
ここではGPSモジュールから出力されているデータの中で、
GGAのフォーマットである行を選択するため、
引数が同一であれば真を返すメソッドを使います。
(文字処理は他にも便利な機能がすでにあるので調べて活用しましょう。)
・文字列の数値変換
次に文字列から数値に変換する部分を説明します。
先ほどのスケッチではまだ文字列のまま出力されているだけです。
文字列から数値に変換することはできず、
一度char型配列にしてから数値にする必要があります。
//(宣言部) int x; char KEIDO[16]; - - - - - - - - - //(実際の変換) keido.toCharArray(KEIDO,16); x = atof(KEIDO);
これはプログラムの断片ですが、目的に合わせて適当な場所に挿入してください。宣言する部分はグローバルな場所、変換する部分はループ内の一カ所にまとめておいた方がいいとおもいます。
keido.toCharArray(KEIDO,16);
(第2引数の”16”は16文字変換することを意味している。)
x = atof(KEIDO);
ここでKEIDOは配列ですが、[]を付けないことを注意してください。
また、わかりやすいようにxにfloat型を使用していますが、1000倍したりすることでint型やlong型で代用することもできます。
さらに、実際に利用するのは小数点以下に表される値になるのでそこだけを抽出してしまうのも1つの手段です。
・Arduinoでの文字処理まとめ
これで受信データを数値にすることができたので、後の計算処理が可能になります。ここで数値変換するまでのプログラムの全体を載せます。
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syntax2html |